OLO -オロブロック-

日本でのみ販売されていたと思われるレゴ社製品「オロ」。

生産に至った過程など、多くの部分が不明瞭な謎の多いアイテムです。

 

パッケージに"by Fujisho Co."とあることから、日本におけるレゴ社製品の販売権を不二商が持っていた時代(1969年~1977年)の製品であることがわかります。また、箱に"Printed in Japan"との記載もあります。

右側の説明文に、「デンマークのレゴ社のパテントによりつくられた」とあります。レゴ本社の工場ではなく、不二商によって日本国内で生産されたとも考えられます。

パーツは通常の製品のものより軟らかい素材のナイロン袋に入っています。この通常のレゴ社製品とは異なる包装形態も興味深いです。

通常のレゴブロックとオロの比較です。

左の2つが一般的なレゴブロック、右の2つがオロです。スタッドや裏側のサポート部など、異なる点がありますね。

以下はこのセットに付属していたカタログの画像です。

【追記-2013.4.5】

オロのカタログの最後のページのリストにあるレゴの補充用パーツパックのセットは1969年に販売が始まり、1972年頃まで流通していたものです。その後別の製品番号でパーツパックが登場していますので、オロのセットは1970年頃から流通していたと考えられます。

 

また、同時期(1970年前後)に販売されていた225ピース入りの通常のレゴの基本セットが1,900円で販売されていたのに対して、このページの222ピース入りのオロのセットはカタログの記載では750円という価格設定です。

当時玩具としては高価であったためになかなか売れなかったレゴ製品を販売するための方法として、レゴ社が特許を取得している別の金型(註1)を用いて同規格の廉価版ともいえる「オロ」を用意し、独自に低価格で販売することによって通常のレゴ製品の購入につなげようという意図があったのではと考えられます。

 

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註1:同時期にイタリアでのみ展開されていたMinitaliaのセットに使われているパーツには一般的な円筒形のチューブではなくX型のサポートがあり、これがチューブの代わりとなっています。なお、大まかな形状はオロとMinitalia共通ですが、Minitaliaのパーツのスタッドに文字やロゴが何もないのに対して、オロはスタッド内部にKの文字があります。また、使用されている樹脂も異なります。Minitaliaは通常のレゴブロックと比べると少し軟らかく傷みやすい素材が使われていますが、オロに関してはABSか、またはそれに近い、通常のレゴブロックに似た素材が使われています。